郷土の食文化

今回はシステム本部の渡辺雅人が担当です。

突然、中国ハルビン出身の当社社員の方から鯉は好きですか?と尋ねられて、なぜそんなことを聞くの?

と思ったのですが、ハルビンにも鯉を煮込んで食べる料理があるそうで、先日私の地元である山辺町で

鯉の養殖をしているところから生の鯉を買って来て料理をして食べたとの話しでした。

鯉の養殖は山辺町の要害地区で行われており、幼い頃は鯉の洗いや甘煮(うま煮)は頻繁に食卓に

並んでいましたが、今では正月に甘煮を食べるくらいになっています。

山辺町は山形県の中でも独特の食文化を持つ町で、一番有名なのは「すだまり」がありますが、

今まで地元の食文化の歴史を辿るということもしたことがなかったので、今回は鯉について聞かれたこともあり、

鯉を食べるようになった歴史について調べてみました。

 

 

鯉は日本全国色んな地域で郷土料理として食べられていますが、農林水産省の県の郷土料理を紹介するサイトで、

山形県は鯉のうま煮が紹介され、それによると山形県で養殖が始まったのは、「1802年、米沢藩9代目藩主・

上杉鷹山公が内陸で水産資源が乏しい米沢の地で滋養のある食材を確保するために、コイの養殖を進めるように

提案したことがはじまりとされている。」とあり、山形県史でも鯉の養殖は置賜地域が発祥で、

山辺町の要害地区に伝わったのは明治時代になってからとされています。

 

しかし、山辺観光ガイドのサイトによると「山形城主の堀田相模守正虎公より伝承され貴重な動物性タンパク源

として親しまれてきた特産品」と紹介されており、要害地区の人たちの間では、江戸時代中期(享保年間)に

山形城主の堀田正虎(1662年~1729年)から要害地区の豪農が大和鯉を賜って、それを飼育したのが始まりで、

江戸時代から養殖が始まっていたという説が伝わっているようです。

 

鯉の養殖が盛んな地域は内陸地方が多く、昔は内陸地方では新鮮な魚を食べることが出来ず、

更に食品が不足する冬場に栄養を取る手段としてタンパク質を多く含む鯉を養殖していたようですが、

鯉の効能には次のようなものがあります。

・糖尿病、肝臓病の食餌療法に良い
・肝臓を守る最良の食品
・目によい
・血流を改善してくれる
・腰痛や関節の痛みを楽にする
・婦人病に良い
・胃潰瘍に良い
・咳を鎮める良薬

その他、免疫力の向上、疲労回復、細胞再生等々、こんなにたくさんの効能があるとは大変驚きました。

 

今回、鯉の歴史や効能については、中学の同級生で実家が要害地区で鯉の養殖を営んでいた

佐藤君の娘さんが書いた卒業論文から引用させていただきました。

 

こうして調べてみると、鯉は酒飲みの私にとっては大変身体に良さそうな魚だと解りましたので、

今まで食べたことのない鯉こくも機会があれば是非食べてみたいですし、ハルビンの郷土料理も

中国出身の方にお願いして、何かの機会にご馳走になってみたいと思います。