魅力的な日本酒の世界

こんにちは、イノベーション事業本部の佐藤です。

今回は、日本酒の話題をお届けします。

 

日本酒というのは、米と水、そして酵母という菌の発酵でつくられる、

いたってシンプルな原材料からつくられる飲みものです。(純米酒の話)

にも関わらず、香りや味のバリエーションの豊かさには、本当に驚かされます。

 

日本酒の香りで、りんごや梨、メロンのような香りがするという表現を聞いて、どう思いますか?

んな訳ないやろ!ってツッコミ入れる方もいらっしゃると思いますが、これには化学的な理由があるんです。

 

酵母の活動によって生まれる「酢酸イソアミル」「カプロン酸エチル」という化合物がありますが、

この成分は果物にも含まれるもので、日本酒からフルーツの香りがするのはそのためです。

つまり、日本酒の味や香りに大きく影響するのは、実は酵母なんです。

 

もちろん酒米や水、造り手の技術なども大きいので、酵母だけで決まる訳ではありませんが、

日本酒の味わいを決める重要な要素になりますので、

好みの日本酒に出会ったときには使用されている酵母をぜひチェックしてみてください。

 

 

ちなみに、圧倒的な人気を誇る新政酒造は6号酵母発祥の蔵で、この酵母は現在利用されている最古の酵母です。

寒さに強く、穏やかで澄んだ果実系の香りと、まろやかな味わいが特徴です。

 

知れば知るほど奥の深い日本酒ですが、その銘柄の数は1万種類以上もあると言われていますので、

好みの日本酒との出会いというのは、奇跡的な確率によって生まれている気がします。

 

国の規制や特約店制度の影響で閉鎖的な業界構造という印象ですが、

これまでの常識を打ち破る挑戦をしている蔵元もどんどん増えてきています。

その一つが山形発の日本酒ベンチャー企業、WAKAZEです。

 

■WAKAZE ”日本酒を世界酒に”

写真 “株式会社WAKAZE” HPより
https://www.wakaze.jp/about/

 

山形の鶴岡に本社、東京の三軒茶屋に4.5坪の醸造所があるベンチャー企業です。

日本酒の製造については法的な規制が非常に厳しく、日本で新しい酒蔵をつくるのは事実上不可能なため、

その他醸造酒に該当するどぶろくや、ボタニカルSAKEを製造しています。

 

2020年にはフランスに醸造所をつくり、

フランスの酒米、水、酵母を使ってALLフランスで醸造した日本酒を製造、日本に逆輸入という形で販売が始まりました。

ワインのような酸味のあるタイプが好みの方にぴったり、インスタではポップなラベルも好評です。

 

興味のある方は、今なら山形市内の平清水にある Lajomon で購入できますので、ぜひ足を運んでみてください。

 

 

■GEM by moto  日本酒とのペアリング

ワインの世界ではよく耳にする「マリアージュ」、日本酒の世界でもペアリングに力を入れる飲食店が増えてきました。

日本酒ペアリングの第一人者である千葉麻里絵さんが店主を務めるのが、恵比寿にある GEM by moto というお店です。

 

写真 “GEM by moto” HPより
https://gembymoto.gorp.jp/

 

カウンター席のみのため客同士の交流がしやすい雰囲気が演出されており、
偶然訪れた人が食事に合わせて提供される日本酒の美味しさに触れて自然にハマっていくという、

理想的なスタイルを提供していると感じるお店です。

数年前に訪問する機会があり、インテリジェンスな雰囲気のイスラエル人常連客が日本酒を楽しむ姿は、店の雰囲気にマッチしていてとてもスタイリッシュだったのが印象的でした。

 

日本酒づくりは、2000年も前から神事として行われてきた歴史があり、
その精神性が酒蔵や作り手の人々に何かしらの形で受け継がれていることが、熱烈なファンを維持している一つの理由のような気がします。

日本酒の蔵元、飲食店とも非常に厳しい状況かと思いますが、
苦しい時期を乗り越え、新しいファンが少しでも広がっていって欲しいと心から願っています。