推し蔵

こんにちは、イノベーション事業本部の佐藤です。

 

前回のブログは、日本酒の酵母のお話でした。

マニアックすぎる~と思いながらも、日本酒の味に大きく影響を与える要素の一つなので、

忘れた方はぜひ復習してみてください

https://msi-net.co.jp/archives/blog/1252

 

さて、今回の話題は「推し蔵」、応援したい酒蔵のお話です。

 

米鶴酒造/山形県高畠町

今年に入りコロナ感染者数が一気に減ってきたタイミングで、2年ぶりの酒蔵見学に訪問してきました。

地域に開かれた酒蔵でありたいとの思いから、見学の申し出があれば断らない方針だそうです。

私は頒布会で提供される限定酒を毎回楽しみにしていますが、その中でも旨みのあるタイプが特に好きです。

そうそう、杜氏の須貝智氏の名前が由来の三十四号も大好きです。

 

高畠町という地域は仕事で長くお世話になったこともあり、私の第二の故郷とも言えるほど愛着のある土地。

「米鶴」のラベルを見るたびに、美しい風景と人柄の良い風土を思い出します。

 

写真 “米鶴酒造株式会社” HPより
https://yonetsuru.com

 

鈴木酒造店/山形県長井市、福島県浪江町

日本一刺身に合う日本酒に選ばれたこともある磐城壽が代表銘柄。

東日本大震災で浪江町の酒蔵が流され、東京農大同期の新藤社長(新藤酒造店)とのご縁で山形に身を寄せていた際、

廃業した長井市の東洋酒造の話を聞きつけ、なんと負債と社員さんごと継承されたそうです。

 

どんな人も受け入れてくれそうな穏やかで優しい笑顔と人柄からは、

壮絶な人生を歩んできたことを全く感じさせませんが、その人柄に本物の強さというものを感じます。

鈴木酒造店さんのエピソードは、ノンフィクション「福島で酒をつくりたい」という書籍にも綴られています。

ストーリーを知ったら応援せずにはいられなくなる、そんな酒蔵です。

 

写真 “株式会社鈴木酒造店” HPより
http://www.iw-kotobuki.co.jp/

 

仁井田本家/福島県郡山市

郡山市という都市のイメージからは想像できない、山林と田園風景の中に位置する酒蔵

目指すのは、酒蔵がある地域での自給自足の酒造り

  酒米は自社田で社員が栽培、農薬も肥料も使わない自然栽培へのこだわり

 酒米をなるべく磨かない低精米酒が中心

  仕込み水は、自社田近くに湧き出る井戸水と、自社山から湧き出る天然水をブレンドして利用

  酵母を添加せず、蔵つき酵母を利用

  酒造りに利用するタンクは、自社山の杉を利用した木桶へ移行中

 

自社田を利用した「田んぼの学校」を通して、地域住民と共に生きる活動にも力を入れています。

コロナ禍の以前は、春と秋に開催される「にいだの感謝祭」に毎年2,0003,000人も訪れていたそうです。

多くのファンを魅了するにいだの哲学が、醸される日本酒に込められています。

 

 

喜久盛酒造/岩手県北上市

 ▶ タクシードライバー

 ▶ 北上夜曲

 ▶ 死後さばきにあう

 ▶ ビクトル投げからの膝十字固め  ➡ 大好きな銘柄☆

 

超個性的な銘柄とラベルの喜久盛酒造さん、さぞや日本酒も個性的な味がするのかと思いきや・・・

美しいという表現がピッタリくる、上品な香りとすっきり切れのある味わいがラベルとのギャップを際立たせます。

前社長であるお父さんが急逝され、畑違いの業界から急遽酒蔵を継ぐことになった藤村社長。

素人の自分に出来る事は何だろうかと悩んだ末に、ユニークな商品開発やプロモーションに至ったらしいです。

真っ直ぐな人柄で、真摯に酒造りに向き合っていることが伝わってきます。

 

写真 “喜久盛酒造クラウドファンディング” HPより
https://camp-fire.jp/projects/view/407362

 

新政酒造/秋田県

最後に、日本酒界を大きく革新させた新政酒造。

  不易流行、革新的ながらも原点回帰的な酒造り

  6号酵母の魅力を徹底的に追及

  秀逸なブランド戦略(商品だけでなく、酒造りの哲学そのものもブランド化)

  酒蔵同士のコミュニティ戦略(秋田のNEXT56号酵母サミットなど)

  積極的な社会貢献活動(被災地への支援など)

 

首都圏では、レアな限定酒を入手するために早朝から200人も並ぶというほど人気の酒蔵。

内向きなイメージの強い日本酒業界においてプロモーション活動にも積極的で、

佐藤社長自身が大きな広告塔になっていますが、気さくな人柄も人気を集める要因になっている気がします。

こういう酒蔵が東北にあるというだけで、何か誇らしく気持ちになります。

 

 

東北の5つの酒蔵を紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

日本酒というのは製品そのものの魅力だけでなく、酒蔵や蔵人が持つ哲学、ストーリーも魅力的な世界です。

1,300以上もあると言われる日本の酒蔵、あなたを魅了する酒蔵がきっとあるはずです。

 

みなさんの推し蔵はどこですか?